第15回絵本出版賞
審査結果発表
第15回絵本出版賞(2026年5月10日締切)は、「絵本部門」「赤ちゃん絵本部門」「学べる絵本部門」「大人向け絵本部門」「絵本のストーリー部門」の5部門で、次の通り入賞作品を決定しました。大賞・審査員特別賞および出版契約が成立した作品は、提携出版社より出版されます。
審査方針:賞の選考においては、完成度の高い作品より、荒削りでも才能の芽生えが強く感じられる作家や、編集者との協働によってさらに魅力が高まる可能性のある作品、絵本の世界に新風を起こしてくれそうな資質や精神性を重視いたしました。
審査方法:一次・二次審査は絵本出版の専門知識を備えた十数名の審査員が「オリジナリティ」「テーマ」「題材とおもしろさ」「表現技術と工夫」「応募姿勢」の5項目を評価軸として応募作品の審査を行いました。最終審査は、絵本出版賞主催者、提携出版社代表、絵本編集者、絵本専門のブックデザイナー、特別審査員により行いました。
大賞
「はじめてのしにがみ」
作者 ねこしちゅう
(絵本部門から選出)



特別審査員賞
「テツはトモのけっこんしきにいきたい」
作者 タカハシ*トモコ
(大人向け絵本部門から選出)



「コメネズミ こうめちゃんをさがせ」
作者 中山桜


「ぼくの おつきさま」
作者 田中ちづみ

「くまくんと おおきなくつした」
作者 かねもとかおり

「まよなかの ホーホケキョ」
作者 ふくはらまさよ

「うみ あきてん」
作者 あらきみく

「ドロボウがきたらほえろ」
作者 かねおやりな

「てんてん なんてん なんのてん」
作者 飛鳥童

「きらめくさんぽ道」
作者 みゆ

「もぐらのはいたつや」
作者 伊達まりこ

「コリーちゃん いえをたてる」
作者 クロスミカ

「どんぐりかぞくの おうちづくり」
作者 さとさと

「おばあちゃんの ふしぎなカサ」
作者 石田優里子

「ハリネズミは しゅぎょうちゅう」
作者 びごーじょうじ

「おとなや」
作者 ひろみつ

「いぬ」
作者 鯉江かおる

「ヨウムの木」
作者 みつぞ

「よる11じのまねきねこ」
作者 東千夏

「ヒューゴと 枝分かれの大冒険」
作者 yan


「氷をつくる植物 シモバシラ」
作者 武田一夫

「んまあ」
作者 中川孝

「コアジサシの家さがし」
作者 MUU

「ようかいと かぞえようかい!」
作者 marucoro

「ガラスのコップを つくるひと」
作者 くまおきこ

「ひゅるるるどっかーん!」
作者 わっと

「さとやまこばち」
作者 おおたにまさえ

「父の絵とともに お父さん聞かせて 広島・原爆のこと」
作者 さくらかな

「たてものくんのひみつ」
作者 のぐちゆりえ

「おおしきあみのアミタ」
作者 市川緑

「歯がない」
作者 ロバート・オルソン

「かんぱいドリー」
作者 Emimos

「はこいぬくんの たからもの」
作者 しげおかさくら

「幽霊さんも大変だ」
作者 Sato君

「いろのないひと」
作者 ゆう

「さくらのたより」
作者 川口陽生


「宝箱と宝の地図」
作者 三宅七奈

「りんりんりんご うちうちうちゅう」
作者 あべし

「わたしのばしょ」
作者 アッシーリバー

「わたしは戦場のうさぎ」
作者 つつみたくみ

「いろいろなあか」
作者 いどがわまき

「ビックビヨ」
作者 大江早紀子

「キーウの青空」
作者 ひろぼん

「竜のガロンとさくら姫」
作者 しょうご

「面接のおしらせ」
作者 スギモトアオイ

「いぬふうせん」
作者 あいめりこ

「ぼくらはいつも なにかにうたれている」
作者 ぱぱおじさん

「猫ならなんて言うかしら」
作者 みきたろう・むにす

「それでいいじゃねぇか」
作者 ネロル

「ぽっかり池の青い魚」
作者 かよみな

「いちごがあれば」
作者 しみずよしか

「わるものびょういん」
作者 谷口竣亮
「「ぼくらしさ」ってなんだっけ…」
作者 古内しんご
「スタンプ、あと四つ!」
作者 萌みふ
「毛糸とクマ」
作者 かなとみまさふみ
「ひらがなのくに」
作者 今西由季
「ざぶんとざぶぶ」
作者 すずかけ舎
「可愛いおばけと怖いおばけ」
作者 まおまる
「せんはどこにある?」
作者 まえだまさき
「ぶかぶかユニフォームのサトル」
作者 川﨑雄一郎
「あせあせマン ~汗ってもポジティブ編~」
作者 ニューサトコ
「いちどだけのてがみ」
作者 たぐちみずうみ
「そふとくりーむさんさんのソフトクリームやさん」
作者 ゆきりん
「おかねのしごと」
作者 啓
「トコトコ トントン ポロポロリン♪ ~心に羽がはえる音楽~」
作者 みなもこ
「しっぽの日」
作者 白玉きなこ
「みならいおかあさん」
作者 mahomaho
審査総評:第15回絵本出版賞の審査を通して、絵本の世界にも時代の変化を強く感じました。創設当初は、伝統的な絵本へのオマージュや、これまで親しまれてきた表現を大切にした作品が多かったように思います。それは決して悪いことではなく、絵本文化を受け継ぐ上で大切なことです。一方、今回の応募作品からは、いじめ、多様性、人とのつながり、境界線、音による表現など、現代だからこそ生まれたテーマに挑戦する作品が多く見られました。特に印象的だったのは、単に今の社会を描くだけではなく、「これから私たちはどう生きていくのか」という未来への問いを感じさせる作品が増えてきたことです。音や空気感など五感を刺激する表現や、新しい世界の見せ方に挑戦する作品も多く、絵本という表現の可能性がさらに広がっていることを感じました。
メッセージ:審査では、作品の完成度だけを見ているわけではありません。もちろん技術や構成は大切ですが、それ以上に、「この作品をもっと育てたい」「読者へ届けたい」と編集者やクリエイターの心を動かす世界観があるかどうかを大切にしています。出版社の編集者は、完成された作品を探しているのではなく、一緒に作品を育てていくパートナーでもあります。だからこそ、自分らしい視点や、「私はこの世界をこんなふうに描きたい」という思いを、ぜひ大切にしてください。その思いこそが、作品の個性となり、多くの人の心を動かす力になります。
審査総評:絵とストーリーのバランスが優れたもの、自由な空間構成が楽しいもの、想像力を引き出されるもの、発想が面白いもの…。今回もたくさんの素晴らしい作品に出会うことができました。第1回目から今まで、市場で売れそうな絵本を選ぶのではなく、あらゆる作品の可能性を見出そうとしてきました。また、消費されず長く残る絵本を作るためには、作品の根底にあるモラルの高さも不可欠です。審査は、目の前の作品に没入しながらも、そうした思考を網羅的にめぐらせて進めていくので、実はものすごく疲れるのですが、それはいつも私にとって、ものすごく幸福な疲労です。本当に楽しい時間でした。
メッセージ:応募してくれたすべての方へ、大切な作品をこの賞に託してくれたことに心からの感謝を伝えたいです。結果を見て落胆した方もいると思いますが、実は私たちは、結果そのものではなく、見せていただいた才能や、その人がどんな人なのか、一緒にどんな新しい絵本の世界を創っていけるのか、などを見つめようとしています。物価高により書店の市場がさらに厳しくなる中、新人作家と出版社は、どのように絵本を世に出し、人の手にとってもらうのかを一緒に考え、開拓していかなければならないと思っています。マーケティングももちろん大切ですが、作家性を大切にして作品を強くしていくことも大事です。この両軸で、ヒット作を生み出していきたいです。だからこそ、お互いを知る時間が大切だと思っています。みなさんにお伝えしたいことや、みなさんに聞いてみたいことがたくさんあるので、そのような機会もいくつか設けさせていただきました。私たちとお会いする機会をいただけたら、とても嬉しいです。
審査総評:今回の審査では、構成がしっかり作り込まれた作品が多く、みなさんがそれぞれ本当に色々なことを考えて作品を描かれているのだなということを感じました。選考においては、素晴らしい作品であることに加えて、1人で読んで完結するのではなく、「誰かに読み聞かせてあげたい」「みんなでこの楽しさを分かち合いたい」と思えるかどうかという視点で選ばせていただきました。絵本を通じて誰かの心とつながる。そんな温かな可能性を感じることができた審査でした。
メッセージ:感動するもの、学びになるもの、赤ちゃんが喜ぶような繰り返しのリズムが楽しいもの。どんなジャンルの絵本であっても、それを必要としている読者は必ずどこかにいらっしゃいます。大切なのは、作者であるみなさんが「こういうことを伝えたいんだ」という思いをしっかり持つことです。その真っ直ぐな思いこそが、絵本にとって一番の原動力であり、価値があるものだと思っています。ご自身の「描きたい」という真っ直ぐな熱意を、これからも宝物のように大切に持ち続けてください。
審査総評:全体を通して、非常にレベルの高い作品が集まったと感じました。伝えたいテーマが明確な作品、卓越した画力を感じる作品、そしてオリジナリティに思わず心を動かされる作品など、1冊1冊に作者の思いが込められていました。審査をしながら、涙を流したり、笑顔になったり、思わず見入ったりと、たくさんの感動をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。中でも、平和への願いをテーマにした絵本が多く寄せられたことが、とても印象に残りました。
メッセージ:応募して受賞すること、あるいは受賞を逃すことは、創作活動のほんの入り口にすぎません。本当に大切なのは、その先にあります。このコンテストは、才能を発掘するための場です。作品は、編集者とともに磨き上げていくことで、大きく成長していきます。ぜひ、応募作とは比べものにならないほど作品をブラッシュアップしていく、その創作の醍醐味を味わっていただきたいと思います。
審査総評:どの部門もクオリティの高い作品が集まっていて、わくわくしながら拝見しました。パーソナルなエピソードから、ポップに楽しませてもらえる作品、時代を反映する強いテーマの作品、だれかに残したい願いのような作品もあり、絵本を通して表現することがポピュラーな創作活動になってきているのを感じました。
メッセージ:自分のなかで大事にあたためたものを、作品としてアウトプットするだけでも素晴らしいことですが、それを見てもらって評価してもらうというチャレンジはとても勇気がいることで、新しい扉をひらいてくれるものだと思います。本づくりの現場では、編集者やデザイナーをはじめ、たくさんの人が作品に関わってくれます。受賞するしないに関わらず、それぞれの次なるステップに進んで、創り続けていただきたいです。