【第9回絵本出版賞】講評と、審査員が次回の応募作に期待すること

応募について

2022/09/03

 

受賞の近道は、その賞がどのような作品を求めているか知ることです。

そして、賞のことを知るために、審査員がどのような思いで審査しているかを知るのは有効です。

今回、第9回絵本出版賞の最終審査に参加した審査員3名に、審査の感想と次回の応募作に期待することを聞きました。  

次回の応募を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

 

第9回絵本出版賞 審査の様子

 

 

当たり障りのないものより挑戦的なものを

 

 ━ 第9回の最終審査を終えて、率直な感想を教えてください。

 

松崎:絵本出版賞の目的は才能の発掘です。未完成でもこれから伸びる余地があるもの、当たり障りのないものより挑戦的なものを、積極的に評価しています。それを見つけるために常にセンサーを研ぎ澄ませなければいけないので、毎回審査は非常に神経を使います。

コロナという想像もつかないような災害があって、戦争が起こって、迷いが生じたり、新しい生き方を考える時代になっているのかと思います。時代を反映し、応募作品も変わってきているように感じます。

 

 提携出版社みらいパブリッシング代表取締役 松崎義行氏

 

城村:そうですね、テーマを持った作品が増えてきたように感じますね。物語や登場人物から、よりよく生きようとする意識を感じました。

 

松崎:第9回の大賞作品は〈絵本部門〉から選出されました。絵本部門は本当に粒よりの作品が多く、受賞の席数を増やしました

 

東野:〈絵本部門〉は、最終選考に残った全員に賞をあげたいくらいレベルが高かったです。独特な世界観を持っていて、完成度の高い作品が多かったです。

 

みらいパブリッシング大阪本社 副編集長 東野敦子氏

 

城村:第9回から創設された〈赤ちゃん・学べる絵本部門〉もレベルが高かったですよ。今後さらにコンセプトを捉えた作品が増えると思います。あと、〈絵本のストーリー部門〉のレベルアップもすごかったです。文章だけでぐっと引き込まれていく強い作品がたくさんありました。

 

スプリングインク株式会社 代表取締役 城村典子氏

 

松崎:〈大人向け絵本部門〉も非常にめずらしく特徴的な部門なので、毎回期待しています。他にあまり事例がないから、大人のための絵本をどうつくるか、どう表現するか、挑戦しがいのある部門だと思います。

 

 

言葉で説明しようとするのではなく、想いは主人公の行動に乗せて動かして

 

 ━ 次回の応募者に向けてメッセージをお願いします。

 

松崎:作品を整えようとしないで、いちばん試したいことを試してみてほしいです。出版の段階では、編集者や色々な人の意見を聞いて絵本をつくるので、応募時の作品と比べてよくなったり成長するものです。だから、応募時点では、色々なことを考えすぎずに挑戦してほしいです。作者がこれを試したい、これを問うてみたい、ということを入れてください

 

東野:自分の世界観を貫いて、とことん追求してほしいです。言葉で説明しようとするのではなく、想いは主人公の行動に乗せて動かしていけば、絵本ならではの魅力を確立できると思います。

 

審査の様子

 

城村:自分が伝えたいことで一生懸命になるのではなく、読者を考え、彼らに楽しんでもらうにはどうすればいいか想像してください。おすすめは、人に作品のフィードバックをもらうこと。できれば友人ではなくプロの編集者や本づくりに関わる人が望ましいです。絵本出版賞の応募者には、提携出版社とのミーティングにご招待している方もいるので、それに参加するのもおすすめです。あとは、歴代の受賞作で販売されているものを自分が読者の立場で読んでみる、オンラインスクールえほんのがっこうに参加するなどです。

出版プロデューサーとして思うのは、やっぱり才能のある人には本を出してほしいということ。才能があるのに機会を逃してしまうのはもったいないので、色々踏み出してみてほしいと思います。ご応募お待ちしています。

 

 

(第9回の受賞作品はこちらからご覧ください)

 

 


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