2024/02/16
第12回絵本出版賞が終了しました。
賞はあくまでもひとつの基準でしかないので、結果は気にしすぎないでください。
それよりも、「締め切りがあるから仕上げることができた」「フィードバックが励みになった」など、ご自身の進化に目を向けて、賞を活用してください。
それが、受賞することよりも何よりもいちばんの資産になります。
絵本出版.comの使命は、才能を発掘し、絵本の文化を世界に広げることです。
応募者の方全員に、今回の賞への応募を100%今後の創作活動に生かしていただきたいと願っています。
今回、コンテスト参加後に何をすると効果的なのか、絵本出版賞を主催する城村典子と、提携出版社みらいパブリッシング社長の松崎義行さんに聞いてみました。
今後の表現活動の参考にしていただけたら幸いです。
(左) スプリングインク株式会社 代表取締役 城村典子
(右) みらいパブリッシング 代表取締役 松崎義行氏
― 参加したコンテストの結果が出て、「次の目標はどうしようかな?」と考えている人もいると思います。そこでお伺いしたいのですが、望んだ結果にならなかったコンテストにまた応募するというのは意味がないことなのでしょうか?
城村:そんなことはありません。前回と違う作品を出せば必然的に審査員の評価も変わり、結果も変わるので、ぜひ何度も応募してほしいです。むしろ、応募から結果が出るまでの一連の流れをすでに分かっているぶん、取り組みやすいと思います。
松崎:すでに何度も応募してくださる方たちがたくさんいるのですが、審査員たちはもう、作品を通してどの方なのか分かるんですね。審査でその方の作品に再会して、前より良くなっていることを感じると、すごく嬉しくなるんです。
― 次回は受賞したい! という方に向けたヒントはありますか?
城村:優等生にならなくていいので、思いっきりチャレンジしてもらいたいです。粗削りでもいいので、これが表現したいんだ、ということを思いっきりやって、私たちをワクワクさせてください。みんなが同じ感想を抱く作品より、審査員のあいだで議論が起こるような作品を期待しています。もう、作品の質は高まっているので、それを凌駕するものを求めています。
過去の審査の様子
城村:また、絵本作家と沢山話すなかで思うのは、一度作品を描くと、それに囚われてしまう人が多いということです。作家であれば、過去の作品に囚われず、どんどん新たな作品を更新していくことが必要です。陶芸家が作品を壊してもう一度別のものをつくるのも、そういうことです。
同じ作品を少し変えてまた別のコンテストに応募する方がいますが、その作品には何か課題があると思うので、それをちゃんと見つめなおしてほしいです。一度つくったものをどうにかしようとするのではなく、ゼロからつくるという思い切りも大切なのではないでしょうか。進化を諦めないのが作家だと思うので。
― でも、過去の作品にどんな課題があるのか分からないと、次に何をどう取り組めばいいかも分からないですよね。そういうときはどうすればいいでしょうか。
城村:そういうときに、フィードバックの機会を活用してほしいです。第12回絵本出版賞にご応募いただいた方には、プロの編集者のフィードバックを受けられる機会をご案内しているので、ぜひ参加をご検討いただきたいです。
今、絵本作家として活躍してる作家たちは、それがどれだけ貴重な機会なのか分かってくださっていると思うのですが、これは本当に貴重なことなのです。せっかく時間をかけて作品をつくり応募して、それによって得た機会なので、生かさないのはもったいないと心から思います。
松崎:数多くの作品を見てきた編集者たちは、編集者ならではの視点でさまざまなことに気づきます。次の創作をするにしても、他のコンテストに参加するにしても、編集者の講評を聞くことは進化のチャンスなので、ぜひ活用してほしいです。
出版社みらいパブリッシング (東京)の様子
今回、受賞した方も、惜しくも受賞を逃した方も、これらのアドバイスを参考にしていただけたら幸いです。
絵本出版.comは、絵本文化のさらなる発展のために、みなさまの今後の創作活動を心から応援しています。
〈 ほかにもこんな機会があります 〉