何度も読み返したくなるような絵本にするために。絵本作家いずみまいこさんの話

創作のヒント

2023/12/01

ショーン・タンを彷彿とさせる細密で美しい絵に、口を開けると広がる奇想天外なストーリー(歯医者さんが物語の舞台のため)。

絵本『ヴィクターのはいしゃさん』は、2023年5月24日にみらいパブリッシングから発売されて以来、子どもから大人まで水紋が広がるように話題を呼んでいます。

何度も読みたくなり、大人になっても記憶の片隅に残りそうな絵本。そんな評判が伝わったのか、全国学校図書館協議会の選定図書にも選ばれ、日本各地の子どもたちに届きはじめています。

今回は、この絵本の作者いずみまいこさんの「第9回絵本出版賞で大賞に輝いてから絵本を出版するまでの創作秘話」と「出版してからの新たな思い」を紹介します。

 

『ヴィクターのはいしゃさん』表紙

 

絶対にいい絵本にする。編集者と一緒にギリギリまで粘って高めた完成度

自分自身が絵本に詳しいわけではなかったため、子どもたちが読んでいてどう感じるのか、どのような言葉でいえば通じるのかなど、客観的な視点で自身の絵本作品がどう子供たちに映るのかあまり考えたこともありませんでした。

しかし、今回絵本のプロの視点でさまざまなアドバイスをいただきながら制作できたおかげで、さらに納得のいく作品に仕上げることもできましたし、何より自身にとっても良い経験となりました。 

 また、表紙、扉、表題のデザインや1ページ1ページのイラストも何度も読み返したくなるような完成度が高いものになるように、何度もみなで熟考してアドバイスをいただき、絶対にいい絵本にしたかったので締め切りギリギリまで粘って制作しました。

この過程を通して、出版社のみなさんの良い絵本を作りたいという熱意がとても伝わってきて、私自身も最後まで諦めずに制作することができました。 

 

 

今後は、世代や国を越えて感動を与えられる絵本をつくりたい

作品を世の中で出版することで、読んでくださった方の感想をいただきました。

その中で私が実感したことをお伝えします。 

自分が伝えたいと思うメッセージを絵本という形で伝えることができるんだと改めて実感しましたし、絵本は、読んでくださった方を幸せにしたり、考え方を転換させてくれたり、想像力を広げられるような大きな力があり、とても影響力のある大きな媒体なんだということを感じました。

子どもたちだけではなく、大人の方にも面白いと喜んでいただけるなどの経験を通じて、世代を超えて様々な年齢の方にもメッセージを届けることができる芸術であると実感しました。

 また、私自身、様々な国の方の絵本を読んで、影響を多大に受けてきました。 今後は様々な年齢の方、様々な国の方に楽しく、感動を与えられるような絵本をつくっていきたいと今回の絵本の制作、出版を通して決心するようになりました。

 自分の将来のビジョンが見えるようにしてくださった、このような出版の機会をいただけたことに誠に感謝します。

 

 


 

〈 いずみまいこ プロフィール 〉

岩手県生まれ。大学在学中にグラフィックデザインとファッションデザインを学ぶ。アパレル企業でファッションデザイナーを経たあと、絵本制作を始める。『ヴィクターのはいしゃさん』で第9回絵本出版賞大賞を受賞。

〈 絵本について 〉

タイトル:ヴィクターのはいしゃさん
著者:いずみまいこ
価格:1650円(税込)
判型:A5判横 32ページ 上製 オールカラー 
発売日:2023年5月24日
ISBN:978-4-434-31998-3
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