【絵本作家になるまでの道のり】『じーさんとぴーぽっぽ』の作者 小亀たくさんの場合

受賞者インタビュー

2022/10/18

 

絵本作家ってどうなるの?

「絵本作家になりたい!」と思いつつも、「そもそも絵本作家ってどうやったらなれるの?」といった疑問を感じている人も少なくないでしょう。
そのような方々向けに、絵本作家になるにはどうすればいいのか?
実際に、夢を叶えてきた方々にインタビューを行いました。

今回は、第8回絵本出版賞大人向け絵本部門にて最優秀賞を受賞した、小亀たくさんにお話をうかがいました。
なぜ絵本作家になろうと思ったのか? 出版後、どのような変化があったのか?
ぜひご覧ください。

 

出版前、見本で出来上がった絵本を手に

 

小亀たくさんの絵本

 

じーさんとぴーぽっぽ
著者:小亀たく
価格:1540円(税込)
判型:B5判 32ページ 上製 オールカラー
出版日:2022年7月14日
ISBN:978-4-434-30481-1

桜文鳥のぴーぽっぽは、じーさんとふたり暮らし。
しあわせな生活を送っていたボクたちだったが、
ある日、じーさんが入院することになった。
ボクは、娘さんの家で暮らすことになり……。
じーさんとぴーぽっぽの深い絆が感じられる良作。




――『じーさんとぴーぽっぽ』を出版されて、どのような反響がありましたか?

色々な方に作品を読んでもらって、びっくりしています。1年前は、考えもしなかった状況です。

原画展を開催したり、さまざまな書店やイベントで作品を並べていただけたり。
SNSも始めたばかりですが、文鳥ファンの方を中心に、徐々にフォロワーが増えてきて、うれしく思っています。




8月に静岡市鷹匠のひばりブックスで開催した『じーさんとぴーぽっぽ』絵本原画展の様子

――大きな反響があった理由は何だと思いますか?

両親が児童文学の研究をしていまして、絵本や児童文学に囲まれる幼少期を送っていました。
母は近所の子どもたちを集めて、絵本の読み聞かせや紙芝居もしていました。
そういうのも、もしかしたら関係があるかもしれません。

私の手元には、ボロボロになった『あおい目のこねこ』(作・絵 エゴン・マチーセン/訳 せたていじ、福音館書店)の初版本がまだあります。

ただ絵を描くことは好きだったものの、幼少期は、野球も得意だったので、活発に外で遊び、よく怪我をしていました。

しかし高校3年生のとき、「将来は、考えたことを形にする仕事に就きたい」と思い、美大受験に方向を変えました。




――その後、グラフィックデザインや広告の企画制作の道に進むのですよね。

会社員として、企業のものづくりや活動のメッセージを生活者へ伝えるコミュニケーションの仕事を長くやっていました。

しかしこれからは、自分自身が社会と向き合うことにチャレンジしていきたいと思い、2021年の夏に会社を早期退職して、現在はフリーランスとして活動しています。




――そこから、絵本作家になられた経緯を教えてください。

もともと「子どもの頃からずっと絵本作家になりたかった」というタイプではありません。
本作も勢いで描いた部分が大きくて……。

『じーさんとぴーぽっぽ』は妻と義父が飼っていた文鳥がモデルになっているのですが、作品にあるとおり、ぴーぽっぽは義父の葬儀の翌日に亡くなったのですね……。それがすごく不思議な感じがして。
経験したことのない感覚でしたので、絵と文章で残そうと思い、この作品が生まれました。




――作品を応募しようと思ったきっかけは何ですか?

描き上げた作品を妻が見たとき「いいね」と言いまして。
社会に出していきたい、という気持ちが芽生えてきました。

というのも、会社を早期退職した理由の一つが、「企業のメッセージを伝えるだけでなく、自分自身の思いや考えを発信していきたい」というものだったからです。
絵本出版をすることで、それらがおぼろげに、つながっていくのではないかと思いました。




――作品を応募することに、不安やためらいはありませんでしたか?

コンペには慣れていましたので、拒否反応はありませんでした。
会社員時代も、よくコンペには出品しており、受賞したこともあります。

しかし、それは仲間との共同作業のうえに築かれた“企業としての”受賞。
今回は、妻と一緒にとった“個人としての”賞だったので、今までとは違った喜びがありました。




出版に向けた打ち合わせの様子。写っているのは手彫りのセキセイインコ

――絵本を出版するにあたって、どのような気持ちでしたか?

嬉しさが先に立ちましたが、今では「いい加減なことはできない」といった恐れもあります。
というのも、作品は読む方々の立場や環境、人生観などによって、色々な解釈がされます。
私の場合、まだ出版して3カ月ちょっとですが、すでに想像を超えたさまざまな反応が寄せられています。

読者のなかには「救われた」などの熱いメッセージをくださる方もいます。
そのような方々の期待を裏切るような行為はしていけないと感じます。




――最後に、絵本作家をめざす方々にメッセージをお願いします。

絵本を通じて、私はさまざまな方にメッセージを届けることができました。
絵本は、たとえ子ども向けに描いたとしても、両親や祖父母なども手にとる可能性があり、受け手の幅が広いです。
そのような方々に、メッセージを伝えられる経験はそんなにないと思います。

私はみらいパブリッシングさんの協力を得て、出版を実現できました。
ようやく個人として、社会と向き合えるポジションに立てたのだと感じます。

そのためには、まずコンペで認めてもらうこと。
そこが、最初の一歩です。

私も読んでくださった方々の心に残る作品を、一つでも多くつくり上げていきたいと思っています







Profile

小亀たく(こがめ・たく)

徳島市生まれ、東京都多摩市在住。
グラフィックデザイン、広告の企画制作に関わり、
2021年より絵本の創作に取り組む。
地球温暖化対策に貢献できるデザインを模索中。
本作は第8 回絵本出版賞大人向け絵本部門で最優秀賞を受賞。
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