【大人向け絵本部門】第1回絵本出版賞選評

応募について

2018/09/25

第1回絵本出版賞選評~大人向け絵本部門~

 

2018年8月30日に第1回絵本出版賞の審査会が行われました。

審査会の様子は「第1回絵本出版賞の審査会が行われました!~総評~」にてご覧いただくことができます。

 

ここでは、部門の受賞作ごとの選評をご紹介します。

 

受賞した方はもちろん、受賞できなかった方や応募していない方もぜひ次の審査通過の参考にしてくださいね。

 

~奨励賞~

『落ち葉』(関根潤)

・イラストは独特な感じでとても良いです。しかしストーリーがこれから始まるのかな、と思ったら終わってしまった印象です。

 

・繊細な絵柄でとても可能性を感じます。もう少しストーリーも含めて丁寧さがあると良いです。またもう少し作者の軸となる哲学みたいなものが作品に反映されるともっと面白くなると感じました。

 

・7枚目まで素晴らしかったです。あと3枚良いものを描ければ、良い絵本になると思います。

 

『「私」を生きる』(黒田充代)

・絵はキレイでしたが、ストーリーというよりつぶやきという印象です。

 

・もう少し言葉の表現を見直した方がいいと思いました。

 

・絵はとても美しいです。文は等身大な感じが良いと思います。ただこの2つが合わさったときに強さが表われていないところがあるので、もう少し絵と文の組み合わせを考えて効果的に表現してほしいです。

 

~優秀賞~

『何処カ野病院、本日モ繁忙也!』(まつやまけいこ)

・絵がすごく良くて、たとえ文がなかったとしても、絵だけ見てお話を創作できそうだと感じました。絵をもっと大きくして見たいです。

 

・お話は少しぶつ切れですが、絵がとても手が込んでいてずっと見入ってしまいます。実力がある人なのでぜひ描いてもらいたいです。

 

・大人の一つの世界観が上手く表われています。一つの大きな絵の中のある一部分をズームしていくというのは面白い手法です。

 

『アンダーワールド』(misako ohazawa)

・イラストに味があって不思議な感じです。どこから開いても読めそうな絵本。

 

・絵はとても良かったです。しかし、絵と言葉の関係性が成立していない気がしました。

 

・絵も文もとても良かったです。どう生きていったら良いのかという悩みに対して、多方面からアプローチして、ヒントを与えている絵本だと思います。架空の生き物たちが生きることの多様性を視覚化・象徴しているように見えます。1冊読み終えたときに自分の生き方や人生について悩んでいる人ほどヒントがもらえて変わるキッカケになるのではないかと感じます。

 

『いろいろちゃんときらきらくん』(*さいき*ちとせ*)

・分かりやすいです。大人でなくてもカラフルなので小さい子供でも読み聞かせれば興味をもつと思います。

 

・人の可能性や差異について描いている面白い展開の絵本。ただ少し全体的に長いです。

 

・神通力がある人の本。心理学や精神医学をある程度学ばないと描けないような内容です。優れていると思いますが、全体的に内容が濃すぎる!

 

以上、大人向け絵本部門の選評でした。

大人向け絵本部門も大変レベルが高く、賞の選出に苦悩しましたが、全体的には伝えたいことが難解だったり、抽象的だったり、冗長的すぎたりする傾向がありました。整理すればもっとよくなるでしょう。

絵本は「絵」と「言葉」の両方の作用が合わさって完成するものです。

絵または言葉に頼りすぎることなく、お互いが不足部分を補完し合うような作品を目指しましょう。

 

第2回絵本出版賞の応募締め切りは11月30日(金)。

素敵なアイデアや原稿がある方はぜひ応募してみてくださいね!

皆さまの熱意あふれる作品をお待ちしております。

 

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