【えほんのがっこう奮闘記】ゆのき、接続詞を使いたいわ の巻き

創作のヒント

2023/02/23

バレンタインデーはただの平日でした、ゆのきです。

最近、朝起きると乾燥して喉が痛くなることが多くなってきました。
毎年、加湿器を買おうかなと思うのですが、濡れタオルを近くに広げて置いたり、すぐに水を飲める状態をつくっては買わずに乗り越えてきました。
今年も春が近づいてきたので、このまま乗り切りたいところです。笑

そんなことより、2月も絵本教室に参加してきました。

絵本作家を目指す人たちが集う「えほんのがっこう」。
毎月第3水曜日の19:00から約2時間オンラインで行われている講座です。

今回の講義のテーマは、「著作権と出版権」。
一見、難しいテーマですが、わかりやすく学ぶことができました。

 

書籍と雑誌の違いって?

 

日本には約3300もの出版社が存在していて、その全てがISBNコードを持っています。
このコードの有無が、日本の出版の流通ルートを使えるかどうかを左右しています。

本というのは大きく分けて雑誌・ムック・書籍の3つに分けられています。
そして、私たちが学んでいる絵本は、この中の書籍にあたります。

雑誌が週刊や月刊など定期的に出版されるもので広告を含む本なのに対し、書籍は単行本・文庫本といった不定期に出版される広告を含むことができないもの。そしてムックはその2つの間にあたります。

読者を思って絵本をつくるのはもちろんですが、誰かをモデルにしたり、モチーフにする際には広告になってしまわないように注意を払いながらつくることも大事なんです。

では、本はどのように流通するのでしょうか。

本の流れる仕組みは、まず出版社やメーカーからトーハン・日販といった問屋へ送本し、そこから書店やコンビニ等に送本され、私たちの手元に届くようになっています。
しかし、トーハン・日販を通過するには、本の見本を見せて合格(出版の許可)を得なければ、出版することができません。

つまり、出版されているということは、すでにある種の信頼を得ているということなんです。

 

著者と出版社の義務と権利

 

著者は自分の作品に権利(著作権)を持つ立場であり、自分の原稿に責任を持つ義務があります。

一方、出版社は原稿をコンテンツとして頒布できる権利(出版権)を持つ立場であり、著者に刷ることについての許可を取り、刷らせてもらうことへの対価を印税として著者に払う義務があります。

しかし、そのような権利のことを知らない著者が多いため、出版社がアドバイスやケアをするパターンが多いようです。
えほんのがっこうで学ぶ以外にも、自分で出版や流通のことを調べて知識として身に着けておくと良いかと思います。

また、ここ最近の出版社への問い合わせで増えているのが、絵本の読み聞かせの際の著作権について。

この背景には、SNSの普及から自分で何かを発信する機会が増えたことと、著作権の規定が厳しくなっていることがあります。
読み聞かせの著作権については、出版社によって変わってくるようなので、各出版社に確認してから使用するのが適切です。

この授業の先生である松崎義行さんが代表を務める出版社みらいパブリッシングの絵本は、非営利であれば朗読・読み聞かせ・SNS投稿使用OKなのだそうです。


こうした意図について先生は、「書店で本を手に取っても100人中99人は買わずに棚に戻してしまう。でも、SNSで誰かが言ってたとか、あの話題の…となれば、買ってくれる人が増えるかもしれない」と仰っていました。

確かに、書店でその場で選ぶより、事前にSNSやTVなどのメディアで見たほうが、興味を持って作品を見ようという気持ちになります。
今後出版することになった時には、そういったフリー使用OKにするのも良い方法かもしれません。

 

接続詞×単語=?

 

今回のワークショップのテーマは「それにしても」「それはさておき」「それならば」の3つ。
この中から1つ選んで、制限時間内に作品をつくるというものでした。

ヒントとして、これらの接続詞×「かかし」×「レバー(取っ手)」など単語と結びつける方法を先生が出してくださったので、生徒のみなさんも想像しやすいワークショップになりました。

前回のワークショップに続き、まずは少人数で、その後全体でという順で発表を行いました。

今までは、単語や文章がテーマだったのに対し、今回は接続詞だったので、縛りがある中でも自由度が高かったように感じました。

オチが決まっていなかった作品を少人数の発表でヒントを得て、全体の発表では作品を完成させていた生徒さんがいて、生徒同士での発表も先生からの講評とまた違った視点を得られる場なのだと感じました。

その他にも、先生がヒントで出した「かかし」を使用したり、「レバー」を食べる方のレバーとしてお話に組み込む生徒さん、子どもとかけ離れたものを組み合わせようと、「ビール」を接続詞にかけ合わせた生徒さんもいました。

みなさんの発表を聞いていると「それにしても」と「それならば」が多く使用されているように感じました。

私の感覚としては、「それにしても」は前の文章・状況を改めて説明・認識できるし、「それならば」は前の文章・状況を踏まえた上で変化するものなので、お話に組み込みやすかったのではないかと感じました。
それに比べて「それはさておき」は、話や場面が切り替わるので、お話をつくる上では使用するのが少し難しいのかもしれません。

 

日本ならではの言葉遊び

 

私が考えたお話は3つの接続詞を全部取り入れて、女の子が雨の中おでかけするというものでした。
最後まで完成することはできませんでしたが、女の子の視点だったところから「それはさておき」の言葉をきっかけに天気側の視点に変わり、「それ」という言葉が含まれた様々な接続詞が出てくるという流れにしました。
文章は、接続詞から国語の教科書を連想したので、縦書きにこだわりました。

普段からライターとして活動していると、接続詞を使用する頻度が多いこともあるのか、この”接続詞から絵本をつくる”ことが、私の中ですごくしっくりきました。
それに加えて、私が人生で2番目につくったお話が代名詞からできたお話だったことも思い出しました。

今までは、授業を通じて世界観や自分の得意ジャンルを知ることができましたが、今回は自分の得意なアイデアの出し方を知ることができ、「何を」「どうやって」「どのように」つくるべきかが明確になり、さらに創作しやすくなりました!

最後に作品講評があったのですが、そこで動物の名前が入った慣用句の絵本を発表されている生徒さんがいました。
日本語の言葉で遊ぶことで、子どもたちが楽しみながら日本語を学ぶことができ、親御さんのファンもできそうなお話だと感じました。

この他にも、回文やひらがなをキャラクターにした絵本が販売されているように、日本語だからこそできる言葉の楽しみ方を表現することで、一定のファンを獲得するきっかけになるのかもしれないと感じる体験でした。


最後になりますが、今回で、ゆのきの奮闘記は最終回になります。

自分ひとりでは思いつかなかったような視点や、自分の持つ世界観を知る良い機会になりました。
また、生徒さんや絵本作家さんから読んでるよと声をかけていただけたのも嬉しかったです。

奮闘記は終わっても、えほんのがっこうはこれからも続いていくので、絵本づくりに興味がある方はぜひ、参加してみてください!

1年間本当に、ありがとうございました!

 

「えほんのがっこう」の初回の参加は無料で体験入学ができます。

▼体験入学はこちらから
https://community.camp-fire.jp/projects/460379/activities/341933

 

ゆのき うりこ / ライター

兵庫県出身。大学を卒業後、「書く」ことを仕事にしたいと思い、24歳でライター活動を始める。趣味は韓国語の勉強・音楽・お笑い・映画・絵を描くことで、オリジナル絵本の作成も行っている。Instagram