【えほんのがっこう奮闘記】ゆのき、タイトルを補うの巻き

創作のヒント

2022/10/28

こんにちは。ついに私の季節がやってきた、ゆのきです。

少し肌寒くなり、街には秋の味覚の新商品が続々と出てきました。カボチャとさつまいもとモンブランが大好きな私は、待ってましたと言わんばかりに、食べ漁っています。笑 せっかく夏バテで痩せた体重も、あと少しで元に戻りそうです。汗

そんなこんなで、10月も絵本教室に参加してきました。

絵本作家を目指す人たちが集う「えほんのがっこう」。
毎月第3水曜日の19:00から約2時間オンラインで行われている講座です。

今までの講義では、絵本を”絵”から読みといてきましたが、今回は”文”から。ライターとしても見逃せない内容でした。

表現するのは絵だけじゃない

絵本は、絵と文両方がうまく良さを引き立たせ合いながら初めてひとつの作品になります。

つまり、どちらか片方だけが良ければいいわけではないんです。

今回は、その文の内容についてではなく、文字としての役割について、例を挙げながら教えてもらいました。

大事なポイントの1つ目は文字のサイズ。

文字が大きくなるにつれ対象年齢が低くなります。

しかし最近では、表紙の文字は大きく対象年齢が低いように感じる絵本でも、中の文字は小さめにするといった、表現したいものに対して邪魔をしないように工夫された絵本もあるようです。

このように文字を小さくすることで物語に溶け込ませ、読者をさらにひきつける形をとっているんです。

2つ目は位置。

例えば、『まんげつのよるのピクニック』(のむらうこ/みらいパブリッシング)では、カモノハシの動きに合わせて左上から右下に文字がズレて書かれています。それと同時に、文字の大きさも段々と大きくなっていきます。

こうすることで、読み手に物語の順番を分かりやすくさせているんです。

この絵本は、私も過去に読んだことがあるのですが、言葉に詰まることなく順にスラスラ読めていたので、工夫に全然気づきませんでした!

3つ目は書体。書体が変わるとページの印象がガラッと変わります。

『まんげつのよるのピクニック』では、細いゴシック体が使用され、落ち着いた品の良さを表しています。

一方、『がいこつさんがわらった』(いしだいすず/みらいパブリッシング)は、手書きになっていて、文字がイラストの大胆さを強調したり、物語の面白い世界観を表現する役目を果たしています。

そのほかにも、さまざまな作品を例に説明をしていただき、自分の作品を読者にどう伝えたいかを踏まえた上で、文字も考えていかなければいけないと考えさせられました。

全体の構図を考えて文字を決めるためにも、前回の講義で出てきた絵コンテを使用するのが良いかも知れません。

文だけつくりたい人は絵を描く必要があるのか

ワークショップの作品発表では、しっかり絵も文も完成させて発表する方が多くいますが、中には絵が苦手だったり、文だけつくっていきたい人もいます。

では、そういった人たちは絵を全く描かなくてもいいのでしょうか。

これに対し先生は、簡易的なラフ、あるいは図でもいいから描けるほうがいいと仰っていました。

その理由は、イラストレーターさんに挿絵を依頼する際に、文章だけではうまく伝わらないことが多いから。

例えば、「木の下に犬がいる」と文章で伝えたとします。

でも、それだけでは犬が左にいるのか右にいるのかわからないし、真ん中にいる可能性だって考えられます。

自分がつくりたいのはどういったものなのかを相手に伝えるには、文章だけでなく絵も描けたほうが便利です。

5月のえほんのがっこうで、先生の説明を聞いて言われた通りに絵を描くというワークショップを行いました。

完成した生徒さんたちの絵はみんなバラバラで、同じ言葉を聞いても人それぞれ解釈は異なるということを知りました。

このことからも、同じものをイメージするためには絵というヒントが大切になってくるのだと思います。

帯を作ってみよう

今回のワークショップは、帯の制作。

ターゲットを定めながら本のタイトル、帯文、表紙のイメージを考えていきました。

帯を考えるという新感覚のワークショップでしたが、今までのワークショップよりも皆さんの完成が早く、発表のときの挙手も多かったです。

本の対象年齢を伝えたり、物語の内容や雰囲気を伝えている方もいて、幅広い伝え方があるんだなと思いました。

今回は今までとは違い、生徒同士での講評だったので、想像力を働かせるトレーニングになっただけでなく、人の作品を見て感じたことを伝える勉強にもなりました。

感情を言葉にすること、相手にわかりやすく伝えることは、出版過程である編集者とのすり合わせでも大事になってくるポイントです。

日頃から口に出してみたり、文字に書き記してみたりすることで、言葉の取捨選択ができ、表現に磨きがかかるのではないかと思います。

ちなみに、私が発表したのは「みんなが…」というタイトルに「ここは、みんなが通る道!」と帯をつけたものでした。

欲しいものを親にねだる時に使う、みんなという言葉は一体誰のことを指しているのかを特定していくストーリーで、幼稚園〜小学校低学年をターゲットに制作しました。

「ここは、みんなが通る道!」は、帯でも「みんな」と言っているという自虐的要素を入れたのですが、これが逆に複雑化させてしまい、見た人にうまく内容が伝わりませんでした。

ただ、ターゲットはしっかり伝わっていて、人に自分の想いが伝わる喜びを感じられました。

実際に作品が絵本となり、出版された時の喜びはもっと大きいものなんだろうなぁと出版に対する想いがさらに強まる体験でした。

いかがでしたか?

興味のある方はぜひ一度「えほんのがっこう」に参加してみてください!
初回は無料で体験入学ができるそうですよ。

▼体験入学はこちらから
https://community.camp-fire.jp/projects/460379/activities/341933

来月も、引き続き授業風景をお届けします。
お楽しみに。

ゆのき うりこ / ライター

兵庫県出身。大学を卒業後、「書く」ことを仕事にしたいと思い、24歳でライター活動を始める。趣味は韓国語の勉強・音楽・お笑い・映画・絵を描くことで、オリジナル絵本の作成も行っている。Instagram