【絵本出版賞から生まれた名作絵本 】「老後のくらし」がテーマの『だから、さびしくない』

絵本コラム

2022/10/03

こんにちは!ライター・編集の市岡です。

第10回絵本出版賞の締め切りまで、あと約1ヵ月となりました。

応募に向けて制作を進めている方は、進捗はいかがですか?

季節も秋に向かい、朝晩はひんやりと涼しさを感じる季節になってきました。

ぜひ体調を崩さないように、制作に取り組んでくださいね!

さて、「絵本出版賞から生まれた名作絵本」について書いていく本連載。

第2回目となる今回は、「老後のくらし」をテーマとした大人にもおすすめの絵本をご紹介します。

だから、さびしくない』 著者:落合久恵

価格 1595円(税込)
B5判 上製 32ページ オールカラー 
2020年5月15日 ISBN978-4-434-27488-6

第3回絵本出版賞の最優秀賞を受賞した、こちらの作品。

絵本にしてはめずらしく、老後の幸せな心のあり方を伝える物語が描かれています。

主人公のマーガレットは、2人の孫がいるおばあちゃん。

ある日突然、家の近くにある分かれ道に道しるべを建てることを思いつきます。

マーガレットの話し相手は、クマの「ホーリー」。

道しるべをつくるときも、毎日のお茶の時間も、マーガレットとホーリーはいつも一緒です。

でも、お話が進むにつれて、段々と読み手の心の中にこんな疑問が浮かんできます。

「クマのホーリーは、本当にいるのだろうか?」

マーガレットはいつもホーリーに話しかけますが、ホーリーが何かを話す描写は絵本の中にありません。

また、マーガレットの手元を見ていると、段々とホーリーを刺繍したクッションができあがっていきます。

もしかして、ホーリーはマーガレットの空想の友達……?

そんなことを考えながら読み進めていくと、ついにマーガレットの家を訪ねてきた娘さんが、あることに気がつきます。

この絵本がどんな結末を迎えるのかは、ぜひ実際の絵本を読んでみてくださいね。

私たちは誰もが一度くらい、絵本や物語、漫画やアニメ、ゲームなどのファンタジーの世界に思いをはせたことがあるのではないでしょうか。

目には見えないけれど、頭と心の中に確実に存在している(ような気がする)秘密の友達や自分だけの家。

この絵本はそんな私たちのイメージの世界を肯定し、それが心や暮らしの豊かさにつながっていることを教えてくれます。

マーガレットもきっと、クマのホーリーや森の友達がいるから、ひとり暮らしでもさびしくないはず。

テーマとしては「老後のくらし」ですが、コロナ禍をきっかけに人とのつながりが減り、1人の時間が増えてしまった今の時代にこそ、大人が読んで感じるものがあります。

深いテーマを描き切ることで、大人にもメッセージを伝えられる。

今回ご紹介した絵本は、そんな名作絵本でした。

絵本出版賞では、皆さまの意欲作をお待ちしております。

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新たな人生の扉が開けるかもしれませんよ……!!!

(文:ライター 市岡光子)

市岡光子 / ライター

千葉県出身。大学を卒業後、都内の中堅大学、小さなPR会社、ベンチャー企業で広報PRの仕事を中心に経験。30歳になる節目の今年、やっぱり子どもの頃から好きだった「書く」を仕事にしていきたいと思い、ライター活動を開始。趣味は読書、音楽、娘と遊ぶこと。

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《 本について 》

だから、さびしくない
著者:落合久恵 価格:1595円(税込)

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