【絵本出版賞から生まれた名作絵本 】写真とイラスト、物語で3度楽しめる『ふたりのひとりたび』

絵本コラム

2022/09/14

こんにちは!

第10回絵本出版賞の募集が始まりましたね。この記事を読んでいただいている方の中には、応募に向けて準備中という方もいらっしゃるかもしれません。

さて、今日から4回にわたって「絵本出版賞から生まれた名作絵本」を1冊ずつご紹介していこうと思います。

絵本出版賞から生まれ、多くの読者の心を動かした絵本たち。いったいどんな作品があるのでしょうか?

 

第1回目となる今回ご紹介したいのは、こちらの絵本です。

 

 

ふたりのひとりたび』 著者:山咲めぐみ

価格 1540円(税込)
A5判 32ページ オールカラー
2021年2月9日 ISBN9784434284915

 

 

この絵本は、第5回絵本出版賞で優秀賞に輝いた作品です。

特徴は、なんといっても「写真とイラストを組み合わせる」という山咲さんならではの表現方法。

著者の山咲さんはフォトグラファー・イラストレーターとして活躍されており、写真もイラストもすべて山咲さんがつくられたものです。

 

 

山咲さんの持ち味である「大自然の中の“小さな世界”」を切り取った写真だけでも見とれてしまうのに、キツネと小鳥がさまざまな表情を見せてくれるので、写真の中の自然の姿も、イラストの2匹も命が吹き込まれたように感じます。

 

 

もちろん、ストーリーも私たちに訴えかけるものがあります。

一匹狼(?)で旅をしているキツネが、最初の頃は「この旅に仲間なんていらない!」と少し寂しそうにも見える表情で歩いているのですが、途中で青い小鳥と出会い、2人で旅をすることになります。

出会った当初はかたくなに「ひとり」を求めるキツネでしたが、どこまでもついてきてくれる小鳥に次第に心を開き(小鳥と出会ってからのキツネの表情にも注目!)、一緒に旅を進めていきます。

「ひとりでいるのは楽だけれど、誰かと一緒に生きていくのも楽しいよ。世界が広がるよ」

そんなメッセージの感じられる絵本なのです。

 

実際、山咲さんはこの絵本の中で「『人と一緒にいることは、世界をもっと広げていくことなんだ』と思えた経験」を描こうと思ったのだそう。

 

▼著者インタビュー記事はこちら

 

写真を見て感動し、イラストを楽しみ、物語で心があたたまる。

さまざまな楽しみ方ができる絵本のため、子どもだけでなく、大人の方にもおすすめの絵本です。

 

ちなみに、この記事を書いているわたしには4歳の娘がいますが、3歳のときにこの絵本を手にしてから、この1年間たびたび読み聞かせてきました。

山咲さんの写真が捉えた自然の素敵な姿を見せてあげることで、子どもの感性が豊かに育つように思いますし、物語を通じて、人と関わることの醍醐味を感じてもらえたらいいなと思います。

 

我が家の娘が好きなページがこちら。

 

 

子ども的には、このコミカルなイラストと「まだついてきやがる!!」のセリフが面白いようで、毎回笑いながらこのページを見ています。

子どもも大人も読んでいて面白く、何度も読み返しては、違った角度から楽しめる。

第5回絵本出版賞から生まれた絵本は、そんな名作なのでした。

 

絵本出版賞では、皆さまの意欲作をお待ちしております。

大賞受賞者は、作品の出版化だけでなく、賞金20万円もゲット!!

「あこがれの絵本作家になりたい」と思っている方にとっては、またとないチャンスです。

過去の受賞者のなかには、受賞作のみならず、その後も継続的に出版している方もいます。

「絵本を出版したい!」「夢を叶えたい!」と思っている方は、まず応募してみては?

新たな人生の扉が開けるかもしれませんよ……!!!

 

(文:ライター 市岡光子)

 

 

市岡光子 / ライター

千葉県出身。大学を卒業後、都内の中堅大学、小さなPR会社、ベンチャー企業で広報PRの仕事を中心に経験。30歳になる節目の今年、やっぱり子どもの頃から好きだった「書く」を仕事にしていきたいと思い、ライター活動を開始。趣味は読書、音楽、娘と遊ぶこと。Twitter

 

《 本について 》

『ふたりのひとりたび』
著者:山咲めぐみ 価格:1540円(税込)



ツンデレなキツネ君のやさしさと、鳥さんのけなげさにキュンとくる、友情と旅のものがたり。写真とイラストでみずみずしくも温かい世界を描いた、新感覚の絵本。「第5回絵本出版賞」絵本部門で優秀賞を受賞。

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