第7回絵本出版賞 各部門の総評

絵本出版賞審査結果

2021/08/05

第7回絵本出版賞の最終審査が行われました。

新型コロナウイルスの発生から1年以上がたち、私たちの生活は大きく変わったように思われます。

応募作品にも変化があるように見受けられましたが、その根本——大事な伝えたいこと——は変わっていないような気もしています。

今は、人と会ったり、触れ合ったり、ハグしたり、キスしたり、そのようなコミュニケーションが取りづらい世の中です。

しかしこれらの大切さは今の時代においても変わらず、そのことを伝えようとしている絵本作品が多くあるような気がしました。

絵本を通じて、新たな社会をリードしていければ……。

そんなことを感じさせてくれた、第7回絵本出版賞の各部門の総評をお伝えします。

最終選考を終えたあと、今回審査員を務めた提携出版社社長の松崎義行氏とデザイナーの堀川さゆり氏に話を聞きました。

 

 

   

提携出版社社長 松崎義行氏

   

デザイナー 堀川さゆり氏

 

 

 

 

「絵本部門」の総評

 

 

今回は、大賞・審査員特別賞とも絵本部門からの選出となり、とても粒ぞろいという印象でした。

本賞もすでに7回目で、絵本出版賞から出版された過去の作品を読んで、応募してくださった方もたくさんいると感じています。

それらの作品を見て、影響を受けたり、触発されたりして、「この賞なら自分の作品が合っているかもしれない」と絵本の新たな領域を切り開いていくような、エキサイティングな作品が多く見られ、私たちも大変楽しく審査させていただきました。

このような作品に出会うたび、絵本出版賞を開催してよかったと思います。

(松崎)

 

 

絵本出版賞には「こういった作品が受賞しやすい」といった傾向があまりなく、いつも異なるスタイルの作品が大賞や審査員特別賞、最優秀賞などに輝いていると感じます。

これも毎回、新たな応募作を送ってくださる皆さまのおかげです。

(堀川)

  

大賞(絵本部門より選出)

作品名「がいこつさんがわらった ぼくはちょっとホッとした。」 
作者:5emon(ゴーエモン) 神奈川県

 

 

審査員特別賞(絵本部門より選出)

作品名「かわろうよ かわろうよ」 
作者:たなかべぶび 福岡県

 

 

 

絵本部門 最優秀賞

作品名「ちいさなぼうけん」 
作者:なかはらあみ 京都府

 

 

 

  

 

「大人向け絵本部門」の総評

 

 

大人向け絵本部門は、絵本出版賞のなかでもとくに多様性のある部門です。

「大人向け」という言葉から想起される絵本のイメージはさまざま。

あらゆるジャンルの作品が届き、本当にこの作品とあの作品を比べていいのか、と迷ってしまうこともあります。

美術的な美しさを追求している作品、アイロニカルに社会を批評している作品、趣味性が色濃く出た作品……。

本当に色々な応募作があり、そのぶん読む側も作品の振れ幅に振り回されつつも、楽しませていただきました。

(松崎)

 

 

大人向け絵本部門はジャンルのみならず、今回は10~90代までと幅広い年齢層の作品が最終選考に残りました。

90代の方も10代の方も、それぞれに年齢を超越するような良さがあり、また時間軸の重さも感じました。

例えば、応募作品の中に第二次世界大戦をモチーフにした作品があったのですが、まるで、今まさに起こっている出来事かと錯覚してしまうほど迫力がありました。

このように、絵本の審査を通じて、過去・現在・未来を行き来し、過去のことを未来に伝えたり、または未来のことを現在から想像してみたり。

絵本作品を通じて、時間軸を超えて、色々な感情を改めて知ることができました。

(堀川)

  

大人向け絵本部門 最優秀賞

作品名「メイデンのお人形」 
作者:ほねずき 東京都

 

  

 

 

 

 

「絵本のストーリー部門」の総評

 

 

ストーリー部門は、絵がないため、この作品に絵を付けたらどんな風になるだろうと、想像で補いながら読んでいます。

そして、あとになって思い返してみると、ストーリー部門のはずなのに、自分が勝手に想像したビジュアル(絵)と一緒に思い出すことが多いのです。

ストーリー部門に関しては、「ストーリーそのものの完成度の高さ」だけではなく、「絵を付けることによってどのように進化するか」に力点を置いて審査していることを知ってもらったほうが、入賞を狙えるような気がします。

私たちはビジュアル(絵)と同時に、作品を読みながら、この著者はどのような生き方、個性、こだわりを持っているのか、作品にどのような思いや信条、テーマを込めているか、なども一緒に考えながら審査しています。

これらのものから離れて作品を制作することは難しいのです。

ぜひあなたなりのこだわりや生き方、テーマなどを込めた作品をお待ちしています。

(松崎)

 

 

ストーリー部門は、いちばん未知の世界です。

他の審査員同様、わたしも、絵を付けたらどうなるか、絵が付いたらこの文章は必要なくなるはず、そしたら文章はどう変えるべきか。そのようなことを考えながら審査していました。

制作者としての観点だけではなく、子育て中にどんな絵本があったら、親や子どもは喜んでくれるか。そういった読者の視点からも作品の講評を行っています。

いつも応募作の傾向は変わるのですが、今回は自分の内面を見つめ、自問自答していくような作品が多かったと感じます。

ぜひ今後も、絵本にする意味を問いながら、ストーリーを制作していただければと思います。

(堀川)

 

 

 

 

以上、松崎義行氏と堀川さゆり氏による、各部門の総評でした。

 

 

絵本出版賞のテーマは「新しい才能の発掘」

今までにない斬新な絵本作品を求めていることからも、初回から他の賞に比べて特徴的な作品が多い傾向にあります。

その傾向は回を追うごとに強まり、今回も作者の年齢層からジャンルまで幅広い作品が送られてきました。

あまりの幅の広さに、審査員も(いい意味で)戸惑いを覚えつつも、ひとつひとつの作品の良さを見出していきたいと、毎回真剣に審査しています。

もし皆さんも「ほかの人とはちょっと違うけど……」といったアイデアがありましたら、ぜひ作品に昇華し、送ってみてください。

そこから絵本作家デビューの道が開けるかもしれませんよ。

 

 


 


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