受賞までの道のりと、本を出すこと。第5回優秀賞『ふたりのひとりたび』山咲めぐみさんにインタビュー

インタビュー記事

2021/05/03

 

 

 

第5回絵本出版賞にて、『ふたりのひとりたび』で優秀賞を受賞した山咲めぐみさん。
『ふたりのひとりたび』は、キツネとトリが一緒に旅に出かける物語です。
フォトグラファーでもある山咲さんの美しいマクロ写真と、可愛らしいイラストの融合が、読者を惹きつけます。
本書は、児童におすすめの本(小学校低学年向け)として、全国学校図書館協議会選定図書にも選ばれました。


マクロ写真とイラストの融合という発想はどこから生まれたのか?
出版を通じて得た反響や今後の夢や展望などについて、お聞きしました。
ぜひご覧ください。

 

◆ふたりのひとりたび あらすじ

「おれはいまから ひとりで たびにでる」
そう言って、ひとり旅を始めたキツネ。
美しい自然のなか、ひとり突き進んでいると、一緒についてくるようになったトリ。
最初はひとりたびを邪魔されて怒っていたキツネの心にも、徐々に変化が表れて……。

 

  

 

――絵と写真を組み合わせた絵本を制作しようと思ったきっかけは何ですか?

私はずっと「目に見えないものを撮る写真家になりたい」と思ってました。今も思っています。

マクロの世界があんまりに神秘的で、実際に妖精がいてもおかしくないと思ってるので、そんなのが撮れたらいいなあ、と。でも、まあ難しい(笑)

そこで超近道して、マクロの世界の住人を直接写真に描くことにしちゃいました。これだったら、念写(?)のような技術を体得しなくても、心に見えた世界が表現できるじゃないか!と。

 

――絵や写真について、制作で苦労したことなどありますか?

絵を描くようになってから、写真の撮り方が少し変わりました。

それまでは花や水滴をただアップで撮ることが多かったのですが、そこに絵を加えようとすると、なかなか上手くいかない。被写体の生命力が強すぎて、絵が負けちゃうんです。

なので最近は「ここに登場人物がいたらどんな1枚になるだろう」と考えながら撮るようになりました。構図も変わりましたし、メインの被写体のみならず背景の美しさというのをより意識するようになりました。

 

  

――ほかにも、制作過程で大変だったことはありますか?

キツネは身近にいないからほぼ想像で描くんですけど、小鳥は毎日見られる身近な存在なんですね。そのため「ちゃんと観察して忠実に描かなくちゃいけない」というスイッチが入ってしまいました。キツネは人間みたいな動きも入れて自由に描いているのに、何故か小鳥はリアル(笑)


トリちゃんを描いててもなんか心が躍らないんだよな〜と思って見返したら「あっ」って。「鳥はこうあるべき!」という常識の罠に陥ってることに気づきました。

  

――キツネとトリといった動物たちのイキイキとした姿が印象的ですが、なぜキツネとトリをメインキャラクターにしたのですか?

絵本を描く前に、マレーグマやウサギ、猫、犬など色々な動物を描いてました。その中で、描いてて一番 ウキッ!とした動物がキツネでした。

あとは、毎日庭に遊びに来る小鳥がいるのですが、その子達が本当に可愛くて…。私の日常を豊かにしてくれるパートナーとも言える存在です。その子達を登場させたかったので、あのトリちゃんが誕生しました。

 

 

――作品が優秀賞を受賞したと聞いたときは、どう思いましたか?

嬉しかったです。「キツネとトリちゃん頑張った!」と思いました。一歩踏み出して応募して良かったと思います。

 

――受賞後、出版に向けて本づくりが始まりましたが、どのような点が印象的でしたか?

編集さんとのやり取りの中で印象的だったのは、フォントを変えただけで作品の印象がガラッと変わったことです。編集さんが提示して下さった色々なフォントの中から、キツネの声ならこれだ!というのを選びました。あと文字に色をつけて下さった時、色がキツネの心を表してるようで素敵なアイデアだと思いました。

 

――出版してみて、どうでしたか?

今まで自分で写真の作品集を作っていました。その数、14冊!でも個展で販売する程度にとどまり、自己満足の域を超えませんでした。

それが今回たくさんの人が関わって下さって、絵本が世に出た。これは本当に嬉しかったです。と同時に、今まで孤独な作業をしてたんだなあ…としみじみ思いました。

見てくださる方も、今まではほぼ身内だったのが、全国に広がって。見知らぬ方からSNSなどを通じて感想を頂きました。「泣けたので、友達の分も買いました」とか「子供が読み聞かせを暗唱した」とか。その子のお気に入りのセリフは「あいつ ついてきやがる!」だそうです。

嬉しいことに、「第2部を期待しています!」といった声もたくさん頂きました。メッセージを貰った日は1日多幸感に包まれます。

余談ですが、とあるダンス教室では「ふたりのひとりたび」のテーマソングを大音量で流して踊っていると聞きました。あの曲で…?! 見てみたい(笑)!

 


山咲さんが自ら作詞を手掛け歌う『ふたりのひとりたび』のテーマソング

 

――今後の夢や目標などありましたら、教えてください。

夢は世界各国の森に行って、写真を撮ることです。その森ならではのエネルギーを撮影し、物語にしたいです。「我が森も絵本にしてください」と国から色々な国から招待されるようになったら最高ですね!

また最近は、絵だけの絵本も制作しています。写真には出せない色や空気感を絵で表現したいなあと思います。

 
あともうひとつ、ずっと叶えたいと思っている夢があります。それは、多くの人と心を共鳴させることです。いや、たった1人でもいい、感動で心がリーンと震えた時に、その音色を人と共有できたらどんなにいいだろうと思っています。
 
多分それがしたくてずっと写真を撮ってきました。今回、絵本を出したことによって、それが現実になってきたと気づいた時はとっても嬉しかったです。
 

聖書「受胎告知」のシーン をイメージしたオリジナル書き下ろし作品

 

――最後に、これから絵本出版賞に応募しようと考えている方に、メッセージをお願いします。

自分の想像は素敵だということを、信じてほしいです。私自身「自分の想像(創造)は大したことない」とどこかで思っていました。でも絵本出版賞に応募してみて、思いがけない展開がたくさん待っていました。

だから「どうせ私だし……」「他に上手い人は沢山いるし……」というネガティブな感情には一旦蓋をして、周りに何と言われようとも、自分が創り上げたものに自信を持って一歩進んでみてください。

これは、私が自分に言い聞かせていることでもあります。私もすぐに心が折れてしまうタイプなので。

 

  

創作エネルギー溢れる山咲さん。今後の活動も楽しみです!

 

 

《 山咲めぐみさんから絵本の寄贈のお知らせ 》

山咲さんは現在、病院の小児病棟や小児科、養護施設、幼稚園、親子の会、読み聞かせの会など、子どもたちが集まる場所へと『ふたりのひとりたび』を寄贈しています。

もし上記のような「子どもたちが集まる場所」に関わっていて「『ふたりのひとりたび』を置きたい!」という方がいらっしゃいましたら、CONTACTからご連絡ください(山咲さんのウェブサイトに移動します)。
キツネとトリちゃんがウズウズしながらスタンバイしております!

 

《 本について 》

『ふたりのひとりたび』
著者:山咲めぐみ 価格:1540円(税込)

ツンデレなキツネ君のやさしさと、
鳥さんのけなげさにキュンとくる、
友情と旅のものがたり。

Amazonで購入する
Yahoo!直営店(送料無料)

 

《 山咲めぐみさん プロフィール 》

妖精の歌を撮るフォトグラファー/イラストレーター

主な受賞歴に、「第4回わぉ! な生きものフォトコンテスト」わこちゃん・おっくん賞、「第36回『日本の自然』写真コンテスト」山梨県一賞、「第17回『美しい日本を撮ろう』フォトコンテスト」BSフジ賞、「第3回写真出版賞 アート部門」最優秀賞。「第5回絵本出版賞」優秀賞。

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第7回絵本出版賞は、現在、新たな才能を発掘するため作品を募集中です!
「絵本作家の夢を叶えたい!」「絵本を通じて、世の中の人に届けたい」という思いがある方からのご応募をお待ちしております。
興味のある方は、ぜひ以下の募集要項をご覧ください。

第7回絵本出版賞の募集要項
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