【第6回絵本出版賞 大人向け絵本部門】審査員コメント

絵本出版賞審査結果

2021/03/12

第6回絵本出版賞の最終審査が実施されました。
今回も600以上もの作品が集まり、ご応募くださった皆さまには心より感謝申し上げます。
ここでは、大人向け絵本部門の入賞作品の審査員コメントを紹介します。
(大賞、最優秀賞、審査員特別賞の審査員コメントに関しては、【第6回絵本出版賞 大賞&最優秀賞&審査員特別賞】審査員コメントの記事にてご確認くださいませ)
第7回絵本出版賞への応募を考えている方などは、ぜひ参考にしてください!

 

【優秀賞】

 
キクタハル「ノスタルジア」

・切ない大人の物語。タイトル通り、ノスタルジーにあふれていて、良い余韻を残してくれます。
・絵がキレイ。ストーリーやタイトルを工夫したらもっと素敵になると思います。
・「素敵な作品だなぁ」と読み進めていましたが、恋人は亡くなっていたのですね。寂しいですが、温かさも残る作品です。

 

押本達希「異常気象」

・子ども向けにできそう。最後がゴキブリなのがちょっと怖かったです……。
・絵がシュールで今風。新聞のページなどは臨場感があり、面白いアイディアだと思いました。オチの部分を考えなおしたら、もっと面白いかも。
・最後はゴキブリでないほうが良かったと思います。人類や地球がどうなっていくのかなど、子どもにメッセージを伝えられる絵本になるとより素晴らしいと思います。

 

中村あめか「あおいてがみ」

・印刷では表現するのは難しそうな色が多いですが、イラストが美しいです。まるで絵葉書のようでした。
・絵がキレイです。 表現力をもっと磨くことができるポテンシャルがあると思いました。
・大人向けのストーリー。幻想的なシーンがたくさんあり、素敵だと思いました。

 

スー鈴木「The Road to Freedom~下ノ関さんの場合~」

・大人向けで面白かったです。
・ドラマやコミックでありがちな話かと思いきや、最後に変化球が来てよかったと思いました。
・絵が上手。挿絵を描いてもらいたいぐらいです!

 

斉藤範子「おばあちゃんとどろぼう」

・ほっこりとした気持ちになる、いいお話です。
・テーマを深くとらえているところが良いです。完成度はもっと上げることができると感じたので、ブラッシュアップしていきたいです。
・癖になる味わい深いイラスト。「のねりここ」という変わった猫の名前もいいと思いました。

 

 

【奨励賞】

 
CHIE「FOPPISH GIRL-私の中の、わたし-」

・絵の世界観が好きです。ラストなど文章がもっと整理されると良いと思います。
・作り方によっては、売れるような作品になるかも? 表現のテーマがもっと突き抜けていくと良いと思います。
・まさにそういったことで悩んでいる人に刺さりそうなテーマ。もう一人の自分をもう少し生かして話を進めていけると、他とは違う作品になると思います。

 

たなかちづみ「さがせ!ミック」

・災害があったときに、このような犬が活躍することを知ることができる絵本。テーマがとても良いです。
・絵もよく内容も分かりやすかったです。
・心温まるストーリーでしたが、もう一工夫できたほうが印象に残ると思います。

 

じゅん「幸せを探しに」

・テーマは一般的なものの、絵が愛らしいです。
・可愛い貼り絵作品。現在の内容では大人向けとはいいがたいので、ストーリー展開、特にラストの部分に工夫が見られると良いと思います。
・「幸せを探す」というよくあるストーリーですが、絵が可愛らしくて、よかったです。

 

Keiko.I「思考の美術館」

・絵が美しいです。詩的な作品でした。
・絵がキレイですが、「これは絵本?」とも感じました。
・繊細さの中に、強い生命力を感じさせるイラスト。ストーリーとの関連性を高めることで、さらに絵本としての完成度がアップすると思います。

 

かまたあいこ「オドルばあさんのこと」

・版画が素晴らしいです。どのような人たちにこの本を読んでもらいたいのか、もっと読者を意識した内容にしたほうがいいと思います。
・絵は良いものの、ストーリーがまだ工夫できると感じました。
・絵の力の強さを十分に感じ取れる作品です。

 

おまる「ブラックツリー」

・設定が面白いです。ストーリーをもう一歩、作りこめるとより良いと思います。
・絵も話も迫力が感じられます。最後があっけなく終わってしまい、少しもったいないです。
・親友の涙の描写に心を打たれました。オチを再考すれば、とてもいい作品になると思います。

 

さら光珠「クリスマスと人魚」

・イラストは美しいですが、人魚である意味があまり感じられませんでした。
・絵は素敵ですが、「絵本なのかな?」と感じてしまいました。
・繊細なイラストが素敵ですが、もう少しストーリーに工夫があるとより良いと思います。

 

セイジ「コーヒー画 散歩と旅と」

・コーヒーで描くという手法にびっくりしました。心惹かれる絵が多数ありました。
・挿絵的ですが、絵がキレイです。
・ コーヒーを使用しての絵が素敵です。クイズよりも、旅行記風の読み物のほうが似合うと思います。

 

熊谷昭史「たびびとと鳥」

・絵が美しく引き込まれました。
・絵はとても良いです! ストーリーは前半はよかったものの、後半部分は再考すると良いと思います。
・絵の雰囲気が柔らかくどこか寂しげで、ストーリーの雰囲気に合っていると思いました。旅人の蒔いた種の描写なども見てみたいです。

 

みき「空の色 Weave a Rainbow」

・絵もストーリーも完成度が高いと思いました。
・亡くなった子供がママを励まそうとする、切ないお話でした。
・テーマは良いですが、もう少し作りこむ必要があると感じます。

 


 

以上、大人向け絵本部門の審査員コメントでした。

大人向け絵本部門は家族や仕事、自分の在り方など今の時代を感じさせるような作品の投稿が多かったです。

ほかにも、イラストは工夫が見られたり、凝ったりしているものの、ストーリーやテーマがあまり感じられなかったり、
またストーリーや設定に強いこだわりがあるものの、ページ数が多すぎたり、文章が整理されていなかったりするなどの理由で読者に伝わりづらい作品も見られました。

“伝える”のは難しいことかもしれませんが、絵の美しさや見た目だけでなく、ストーリーやテーマを伝達する“表現”としての工夫がもっと見られると、読者に響きやすいと思います。

大人向け絵本部門は、絵本出版賞の特徴的な部門でもありますので、「こんな作品でも大丈夫かな?」と思うものでもぜひご応募ください。
皆さまの力作・意欲作にお会いできることを楽しみにしています!!

================================================================================

絵本出版賞では「絵本作家を目指している!」「自分の絵本を世間に広めたい」と考えている人たち向けに絵本について色々知れる無料のメルマガを配信しています。

「ヒット作の作り方のコツとは?」「そもそも絵本出版の仕組みとは」など基礎的な絵本の知識を勉強したいという方は、ぜひご登録ください。皆さまの作品が世に出るお手伝いを、微力ながら、していきたい思っています!

「絵本出版をしよう!メルマガ★」の登録はこちらから

================================================================================

【第6回絵本出版賞に関するその他の記事】
第6回絵本出版賞最終審査が行われました!!
【第6回絵本出版賞 大賞&最優秀賞&審査員特別賞】審査員コメント
【第5回絵本出版賞 絵本部門】審査員コメント

ぜひご覧ください!