【第5回絵本出版賞 ストーリー部門】審査員コメント

絵本出版賞審査結果

2020/07/14

6月某日、第5回絵本出版賞の最終審査が行われました。
ここでは、ストーリー部門の優秀賞&奨励賞受賞作品の審査員コメントを紹介します。
(最優秀賞のコメントを読みたい方は「【第5回絵本出版賞 大賞&最優秀賞&審査員特別賞】審査員コメント」をご覧ください)
審査員からどのような作品が高い評価を受けるのか、傾向を知りたい方はぜひ参考にしてください。
(最終選考の様子は「第5回絵本出版賞最終審査が行われました!!」にてご覧いただけます)

【優秀賞】
生口紺「かくれんぼ」

・畳みかけてくる面白さ。命の面白さを感じました。

・猫に素質の片鱗が見えます。猫の癒し本、写真集みたいな本になるかもしれません。

・とても楽しい作品。ぜひ絵本にしてみたいと思いました。

さわすけ「くつのしゅうりやさん」

・これが絵本になったら面白いと思います。忙しい大人に向けた心にしみるストーリーです。

・ヒールのかかとが取れる体験と自分の足元がぐらつく感覚が迫ってくる良い作品です。

・「初めての一歩」。その喜びを思い出させてくれる靴の物語に心が洗われます。

郷海希「氷の馬」

・美しくて夢のある話。こんなお店があったらいいですね。構成がしっかりしていて、表現も過不足がなくてよかったです。

・設定が面白く引き込まれます。エピソードを工夫するととても良い作品になりそうです。

・絵本にするには情報が多過ぎるのが気になります。しかし、とても素敵なお話でした。目が見えるようにではなく、忘れないようにお願いするなんて!

外村実野「ピーマンのしゅちょう」

・食育に使えそう。運びにリズムがあり、関西弁が心地いいです。

・大阪弁が良いと思います。ピーマンが主体なのもよかったです。タイトルは変更の余地あり。

・必ずしも大阪弁である必要はなかったかもしれませんが、ピーマンが嫌いな子どもは多いのでいいかもしれません。

えい ななか 「かぼちゃのワニはフレンチ・パンプキン」

・セリフがよく書けていてワクワクします。テーマも素敵です。

・アイディアは面白いですが、テーマが見えにくいです。しかしパンプキンがワニになるところは絶妙。テンポの良い文章も魅力的です。

・かぼちゃがワニに似ているというのは面白いです。食べ物の妖精(?)が出てくるのはよくありますが、楽しいストーリーです。

【奨励賞】
すがわそうき「みずいろのオルー」

・絵をつけて読んでみたいです。センスを感じました。

・ちょうちょになれなくてお化けになるのが素敵。もう少し面白い展開が欲しかったですが、奇妙さはクセになります。

・芋虫が死んでしまう意外性に驚き。黒いワンピースのお姉さんがすごく象徴的ですが、読み取りづらくもありました。

市川 知宏 「ジョーイのおてつだい」

・みんな一人ずつお手伝いしたらどんどんうまくいく素敵なお話。絵でも表現しやすくて良いと思います。

・夢を叶えるためには、まず人の役に立つことをする。そのストーリーが素敵です。

・お手伝いのペイフォワードは素敵ですが、空を見るという設定はどうだろう? と思いました。

にのみや としこ 「ゆたかの石」

・戦争の悲しみを深く感じました。絵本として出版するのは難しいかもしれませんが、胸を打たれました。

・とても大切なテーマだと思います。作品としてもっと新規性を出せると良いです。

・戦争というテーマは大切だと思いますが、もっと物語が起伏に富んでいて欲しいです。絵本より小説のほうが向いていると思います。

森田金魚「吾輩は赤子である」

・赤ちゃん目線は面白く、後追いされたことも思い出しました。

・発想はユニーク。文章をもう少しそぎ落とせると良いかも。

・0歳時代をよく観察できています。今後もぜひ作品を書き溜めてもらいたいです。

上田雅美「鷲鳥と女の子」

・ファンタジーの世界観が良いです。アートな絵を組み合わせたらいいかもしれません。

・自分の中の「宝物」を見つける旅に出たくなるような作品です。

・夢のある絵本になりそう。壮大で妙なる音楽を聴くような物語展開が素晴らしいです。

So「手のひらサイズの宇宙人」

・面白いです。主人公の優しさにほっこりしました。しかし意外性が欲しかったです。

・可愛らしい話。絵が付いた作品を読んでみたいです。

・「こんなことがあったら楽しそう」と思う反面、読み手が解釈しないと物語に入り込めない部分もありました。

いとう蓮「ぼくのいるところ」

・決してつらいままではなく、幸せな気持ちで終われます。絵を工夫したらいい作品になると思います。

・絵を呼び込んでくれる、懐の深いストーリー。子どもに寄り添っている感じがしました。

・深刻なテーマを内包しつつも、明るいラストへとつながるストーリー展開が心地よいです。ただし少し説明的で、オリジナルティに欠けているところもあります。

くまたけんたろう「ボクとナエ」

・静かで素敵なストーリー。美しい絵を付けたいです。

・木のお医者さんになるというのはとても素敵な夢。売れるかは分かりませんが、キラキラと人の心を惹き付ける要素があります。

・秀逸なストーリー展開。非凡さは少ないですが、心の琴線に響いてきました。

なみき すず 「ひろくんとボク~ともだち~」

・金魚とあおむしの会話が良いです。別れもあり、ドラマチックでした。

・ちょうになるシーンは感動的。観察することの楽しさも教えてくれそうです。

・描写は面白いですが、テーマが見えにくいと感じました(別れ? 成長?)。

はたかずみ「空箱スマホ」

・現代らしい作品。スマホが欲しい男の子の話から始まる、とても心温まるストーリーです。さらに関係が深まる展開にしていきたいです。

・粗さはあるものの、狙いが面白いです。ミステリー風に仕上げることもできるかも。

・スマホでつながるよりも、もっと大切なものを主人公はクマに教えられます。ストーリーの展開が良いと思いました。


以上、ストーリー部門の優秀賞&奨励賞の審査員コメントでした。
このようなご時世だからでしょうか。
毎回送られてくるものの、戦争や里親などテーマ性の高いストーリーが多く寄せられている印象でした。
今回、ストーリー部門はレベルが高く、審査員の皆さんも楽しく作品を読まれていました。

中には、絵本というよりも小説や児童文学に近いような作品もありました。

入賞を狙うのであれば、この分量や表現は絵本向きか、それとも小説や児童文学などに近いかなどもチェックしてから応募してみるのもいいかもしれません。

今後も、皆さまの力作をお待ちしております!

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