2019/07/01
【第3回絵本出版賞 ストーリー部門】審査員コメント
6月某日、第3回絵本出版賞の最終審査が行われました。
最終審査の様子は「第3回絵本出版賞最終審査が行われました!!」にて、ご覧いただけます。
ここでは、ストーリー部門の審査員コメントを掲載します。
どのような作品が入賞しているのか知りたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。
(大賞・最優秀賞・審査員特別賞の審査員コメントは「【第3回絵本出版賞 大賞&最優秀賞&審査員特別賞】審査員コメント」にて読むことができます)
~優秀賞~
にゃぼがど「おとなたちのわすれもの」
・どこかジンと胸に来る素敵なお話。大人向け絵本としての出版になるかもしれません。
・アイデアが面白いです。期待させる展開なので、オチにもう一工夫欲しいです。
・大人向けかもしれませんが、思い出のリサイクルとは、オシャレな話だと思いました。素敵な絵をつけたら宝物みたいな絵本になるのではないでしょうか。
あんのくるみ「すーちゃんのつまさき」
・とても感動的なストーリーで、よく書けています。共感する人も多いでしょう。絵を付けることで、小さな子供にもより伝わりやすくなると思います。
・粗削りですが、人の心を打つものがあります。よく見るテーマですが、共感できるし、ドキドキするシーンもありオリジナルティも感じられます。
・おとなしくて思ったことが言えないすーちゃんの気持ちがよく伝わってきます。最後は勇気を出して「ごめん」が言えてよかったです。応援したくなります。
みずぬまみか「ななめの木」
・人の想像力はこの地に極楽浄土を作ることができるんですね。ときの流れが止まり、一瞬が永遠のように感じられます。独特なリズム感もとてもいいです。
・嵐までのストーリーはとても良かったです。書く力がある方なので、テーマをもっとはっきりさせると良いでしょう。
・おばあさんが亡くなって寂しいおじいさんの心を、ななめの木と動物が癒していくことにほっこりしました。繰り返しの感じも良いと思います。
のっち「夢みたいなパン屋さん」
・心に残るとても素敵なお話です。
・アイデアと企画が良いです。夢との行き来を工夫できるともっと良くなるでしょう。よく書けています。
・絵本にしては長いかな? と思いましたが、温かなお話でした。楽しく読めます。
住田修「ノロ君としょう君」
・ノロくんの心情が切なく書かれています。自然で素敵なストーリー。ぜひ絵本にしたいです。
・しょう君の心の変化をもっと丁寧に描写できると良いかも。シーンの描写は良く、心に迫ってくるものがあります。
・かめのノロ君の気持ちがよくわかります。それを通して、しょう君の気持ちもよく伝わってきます。一度捨てられた亀をまた拾いに来てくれて最後は心温まる展開。ウルッときました。
~奨励賞~
のののもり「醜いおじょうさん」
・醜いおじょうさんの「らしい」生き方がよく描かれています。
・絵本とはいいがたいですが、上手く、作家としての才能を感じさせます。画家の思惑が描かれるともっといいです。
・型にはまらないストーリー。結末を工夫したほうが良いかもしれません。
とみぺぐ「タイヤくん 新しい仕事をさがす」
・いろいろな人、シーンが出てきて、ダイナミックで楽しいストーリーです。
・自由で、新しくて、面白いです。1作品だけだと印象が弱いのでタイヤでいくつか話が作れるともっと面白いかもしれません。
・タイヤがドーナツ屋さんの看板になるところも見たかったです。タイヤがそれぞれ仕事を探すというのは面白い発想だと思います。
おおはしまき「あなたはどんなきもちかな?」
・いい企画だと思います。機械的な絵にするか、具体的なシーンにするかが肝かと思います。作画することでもっと良くなりそうです。
・テーマは良いですが、若干描き切れていない印象。説得力が弱いです。言葉遊びをもっと考えて、読者に発見をもたらしたいです。
・リズム感があっていいです。気持ちを色や形で表して、楽しい絵本ができそうです。
アスカ「ひげの短いサンタさん」
・アイデアいっぱいの楽しいストーリー。最後の置き手紙がとてもいいです!
・12歳が構築していて、ストーリーとして成立していて素晴らしいです。
・サンタさんが姿を見られて、サンタ人形になりきるところが笑えました。12歳とは思えないしっかりとした作品です。
真戸緑「あおばあめ」
・大地の叙事詩。感動しました。雲、森、鳥の言葉がイキイキと語っていて、そのほど良さにセンスを感じます。
・気候を描く着眼点が◎。一緒にチャレンジして、ストーリーや表現を工夫していきたいです。
・季節の移り変わりを描いた美しい絵をそろえたいです。小さな子供には難しいところもあるかと思いました。
豆まるみ「『ごめんね。』っていえた!」
・ママのキャラクターの魅力がもっと伝わると良いです。エピソードをもっと工夫するともと良くなりそうです。
・お母さんの会話が良いです。不自然さがあるので、それを直していきましょう。
・子供とお母さんとの会話が良く、温かい気持ちになれました。動画につける説明のような文章をどのようにして絵にするかが課題と感じました。
Pandaco「さんごのげきじょう」
・さんごのげきじょうはどこにあるのでしょう? どこにでもある? 危機に瀕している? 文明と自然の共存というテーマも含んでいると思います。
・海の幻想的な世界を描く絵本。ストーリーをもう少し工夫したら、もっと良くなると思います。
・情景が浮かびます。キレイな絵で見せてほしいです。
たあ「ぼくはコウモリ」
・思いやりや自己肯定感を育むのにいいお話だと思います。「自分は自分」それでいて「みんな仲間」ということが描かれていて、いいなと思いました。
・コウモリを中心に動物の生態を描く戦略はいいですが、もう少し深く描いてほしかったです。
・コウモリがいろいろな生き物に会います。そのたびに、大きな絵があったらいいなと思いました。少し理屈っぽいので、もう少しすっきりとしたら、伝わりやすいと思います。
セレンゲ「3色のくま」
・3色のクマと外界との関係性が面白い。その表現意図がはっきり出るともっと良くなると思います。
・ありきたりかと思いきや、丁寧に描かれていてビックリ。色を展開できる『にじいろのさかな』的な話。でも、クマってどんな色になるのでしょう。
・色をあげられるという発想が素敵です。美しい絵本になりそうです。
こまざわまさこ「おしゃべり図書館」
・図書館が女性になるお話で、いろんな個性を持った本たちの会話がとても面白いです。
・アイデアが面白いです。主人公が本で、少年が聞き役になっているのがもったいないと思いました。
・本がしゃべり出すのがとても面白く、絵が付いたら楽しそうだと思いました。おしゃべりは楽しかったですが、もっとダイナミックな展開があったほうが良かったです。
以上、絵本のストーリー部門でした。
ストーリー部門は、審査員が読んでいて、「こういうイラストを付けたい!」と具体的なイメージが思い浮かべられるような作品が入賞している印象です。
最優秀賞の「オタマジャクシのたまの山」のように、「ありえない!」ストーリーも絵本の世界だからこそ。
「ちょっと現実的ではないんだけど……」そんな豊かな発想あふれる世界観の作品も受け付けております。
ぜひ次回、応募を検討している方は、「こんな絵を付けてほしい」といったことを頭に思い浮かべながら執筆するといいかもしれません。
その他の部門の審査員コメントを読みたい方は「【第3回絵本出版賞 絵本部門】審査員コメント」「【第3回絵本出版賞 大人向け絵本部門】審査員コメント」もご覧ください!
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